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福岡地方裁判所 昭和60年(わ)1695号 判決

本店の所在地

福岡県大牟田市曙町一番地の一六

法人の名称

井形組 有限会社

代表者の住居

福岡県大牟田市曙町一番地の一六

代表者の氏名

井形孝子

本籍

福岡県大牟田市曙町一番地の一六

住居

右同

職業

会社役員

井形孝子

昭和一四年一二月一〇日生

右井形組有限会社及び井形孝子に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官寺澤俊彦出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告人井形孝子を懲役一〇月に、被告人井形組有限会社を罰金八〇〇万円に、各処する。

被告人井形孝子に対し、この裁判の確定したから三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社井形組有限会社は、福岡県大牟田市曙町一番地の一六に本店を置き、港湾運送業等を目的とする資本金六五〇万円の有限会社であり、被告人井形孝子は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人井形は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、従業員の賃金を水増計上するなどして、簿外預金、割引債券を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が三、一五四万五、八九〇円であったにもかかわらず、同五八年二月二二日、福岡県大牟田市不知火町一丁目三番地一六所在の大牟田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九一万一、二四八円で、これに対する法人税額が五七万三、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の前記事業年度における正規の法人税額一、二二八万八、九〇〇円と前記申告税額との差額一、一七一万五、六〇〇円を免れ

第二  昭和五八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が二、八一五万二、四一一円であったにもかかわらず、同五九年二月二三日、前記大牟田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一〇万三、九二四円で、これに対する法人税額が三三万九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の前記事業年度における正規の法人税額一、〇八六万三、八〇〇円と前記申告税額との差額一、〇五三万二、九〇〇円を免れ

第三  昭和五九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が三、六八一万九、九四一円であったにもかかわらず、同六〇年二月二六日、前記大牟田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一五二万三、〇九〇円で、これに対する法人税額が四七万二、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の前記事業年度における正規の法人税額一、四九五万八、六〇〇円と前記申告税額との差額一、四四八万六、五〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官(二通)及び大蔵事務官(一四通)に対する各供述調書

一  被告人作成の上申書五通

一  平田彌四郎及び富重喜久子の検察官に対する供述調書

一  富重喜久子の大蔵事務官に対する供述調書五通

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  登記官作成の登記簿謄本

一  大蔵事務官作成の告発書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検三号)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(昭和六一年押第五三号の一)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検四号)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の二)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検五号)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の三)

(法令の適用)

被告人井形孝子につき

罰条 いずれも法人税法一五九条一項(いずれも懲役刑選択)

併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条

執行猶予 刑法二五条一項

被告人井形組有限会社につき

罰条 いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項

併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 池田耕平)

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